Funny Walking

他人の人生を掘り下げる

はじめてのリモートワークで見えてきた、不慣れな状況との付き合い方

新しい現場に参画し、当初面談で聞いていた内容とはだいぶ状況が異なっており、そのギャップに対して戸惑いを感じている。ここで状況を整理しておいたほうが、精神的にも良いと思い、記事を書くことにした。

面談前に、仕事に求めていたこと

モダン開発を学びたい。いままでレガシー開発の現場が多く、エンジニアとしてのキャリアに不安を感じたため。

面談で聞いていた話

実際の状況

  • 客先常駐なのは聞いてたとおり
  • Rails開発なのは聞いてたとおり
    • テストはがっつり書いてると思ってたが、実際はあまり書かれてなかった。minitestで20%くらいのカバレッジかなと思う。
  • スクラムなのだが、開発チームが自分を含めて3名となるはずが1名離脱したため2名となってしまった。
    • 既存メンバーが高稼働となり、ほぼ自宅からリモートワークとなった。

ギャップ分析

ソフトウェア開発スキルの面では、想定どおりの状況になっている。Rails開発は自社サービスで2年程度経験したが、開発者が自分一人だったため孤独でつらかったし、良いソフトウェアのモデルがわからず、オレオレ実装になっていて達成感が得られなかった。そんなわけで、Redmineプラグイン開発という形で有名なOSSに触れられているというのはありがたい経験だ。

ソフトウェア開発手法の面では、想定とだいぶ異なる。スクラムはもっと開発メンバーが多いものだと思っていたし、リモートワークではないと思っていた。ただ、スクラムマスターの離脱は責められないし、高稼働となった既存メンバーの稼働を下げる策も経験の浅い自分には無い。人間、生きていれば想定外の状況など当たり前に起きるものだ。というわけで、初めての職場、初めてのチームメンバー、初めてのRedmineプラグイン開発、おまけに初めてのリモートワークに対応することになった。

リモートワークへの対応戦略

さて、どうしよう。対面コミュニケーションが得意とは言えないにしても、リモートワークなど初めての経験だ。初対面の人と話すだけでも馴れないのに、加えてリモートでのコミュニケーションだ。

Microsoft Teamsというツールを使って音声通話を行う。初日は、簡単な会話ですら満足にできなかった。ひたすら相槌を打つことに終始した。

カメラは、相手方の状況は見えるが、こちらにはカメラが無かったので、ボディランゲージを使うことができない。感情を言葉にしているつもりでも、うまく言葉にできないし、そもそも言葉で相手に伝えられる情報の量は、視覚で相手に伝えられる情報よりもはるかに少ない。自分は普段は図を描いてコミュニケーションすることを重視しているため、非常に不自由を感じた。

毎朝、Teamsの画面共有機能を使ってブラウザを共有し、Redmineのかんばん(Backlogsプラグインで実現する機能)を見ながらデイリースクラムを実施するというスタイルでコミュニケーションした。

デイリースクラムは15分程度で終わらせるものらしいが、とにかくコミュニケーションの量を増やさないといけないと思ったので、1時間にした。デイリースクラムと、Redmineプラグイン開発のレクチャーを一緒にやったような感じだった。

とにかく情報が欲しかった

スクラムの情報、Redmineの情報、チーム文化の情報、顧客とチームとの関係性についての情報、チームメンバーの情報など、欲しい情報はいくらでもあった。さいわい、既存メンバーが説明好きな人だったので、とにかく喋ってくれた。マインドマップにメモしながら必要な情報を取捨選択し、ひたすらに話を聞いた。客先常駐エンジニアの性で少しでも爪跡を残そうと意見したくなるときが幾つもあったが、建設的な議論をするには自分はまだ客先の文化を知らなさすぎる。仕事の全体像が見えるまではひたすら情報を集めることに終始しようと決めた。

客先常駐エンジニアにとって、顧客のビジネスに共感すること、仕事相手に敬意を持つことと、逆に相手に親しみを持ってもらうことは絶対条件だ。そのために、ひたすら自分は相手の話を否定せず、遮らず、話したいだけ話してもらうように終始した。我慢して黙った。相手が自分のことを消極的だと思うくらいに自分から話をしなかった。ひたすら相槌を打っていた。カメラがないので相手に相槌が伝わったのかどうかは不明だが、「傾聴」をしようと思うだけの精神的な余力がない。とにかく自身に余裕がない。慣れない環境の不自由さは相当なものだった。

一刻も早く、不自由さを解消する必要があった。学習効率を上げるために40分仕事をして10分昼寝をする、というポモドーロテクニックを応用したサイクルを回し、記憶の定着率を上げた。得た情報はアウトプットしてマインドマップにまとめ、知識を整理した。

その後の経過

約1か月半が経った。Redmineソースコードにも少しずつ慣れてきて、スプリントのやり方もなんとなく覚えて、チケット駆動開発もわかってきた。

チームメンバーとはリモート越しに、仕事以外の話もできるようになった。向こうは山の上らしく、ウグイスの鳴き声が頻繁に聞こえる。暑いときはセミが非常に賑やかで、ヘッドセット越しに夏を感じる余裕が出来たように思う。

仕事の全体状況が少しずつ見えてきて、機能改善の仕様検討についても、要望をそのまま実装するだけでなく、「目的は何か」「誰のどんな課題を解決するのか」「もっとスマートな解決策があるのではないか」といった、仕事の価値を高めるための建設的な会話が出来るようになった。

リモートワークをやってみて、意外だが、自己管理能力(特にタイムマネジメント)が向上したように思う。自分が不安に囚われて何もできなくなることを避けたかったので、瞑想も適宜取り入れ、とにかく焦りを生まないように心がけたことが良い方向に働いたかもしれない。

不慣れな状況への対応戦略まとめ

  • 情報を集める
    • 相手の話は最後まで聞く。絶対に遮らない。可能な範囲で「傾聴」を意識する。
    • 客先の文化を知る。ドキュメントを読む。
  • 環境に慣れる
    • 適度に休息を入れたルーチンを取り入れる
    • 瞑想など、自身を焦らせないための施策を実施する
  • 人に慣れる
    • 相手のビジネス用語をなるべく使って会話する。

もっとも大事だと思ったのは、相手以上に自分を否定しないようにしたことだ。「おれはもっと出来るはずだ」と、過去の仕事のパフォーマンスとの差に悔しい思いをすることが多かったが、だから何なのだと撥ねつけた。知ったことか。ただの幻想だ。自分を守れるようになって、初めて相手に価値を提供するスタートラインに立てる。

カメの歩みで良い、これからも少しずつ改善していこう。